ジョルジュの憂鬱1

「あっ……」
 あおのく白い首筋。
 まだ幼さの残る顔立ちには、戸惑いの色が翳っているが、そんなものは見て見ぬ振り。何か言いたげな口もすぐに塞いでしまう。
 指を絡め、翠色の髪にキスを降らせ、気持ちを昂らせる。
 その夜は一際ゆっくりゆっくりと暮れて行くように感じられた。




「話がある。演習終わったら、俺の部屋まで来い」
 奴の背後に立ち、そう早口で告げ、返答を待つ事なく横を通り過ぎる。
「ジョルジュさん……」
 振り向くと、奴――ゴードンは不満げに俺を見ていた。
 当然だろう。仕事上で必要最小限必要とされる言葉以外、全くといっていい程交わさずにきて、もう一ヶ月以上経つ。あいつにしてみれば今さら話す事などないという所だろうか。
「……嫌です」
「上官の命令だ」
「……そんな、私情を交えた命令なんて聞く義務は……」
「私情もへったくれもあるか。聞く気がないってんなら、軽度命令違反、自室謹慎1週間だな」
「……っ」
 奴は反論しようと思ったのか、口をぱくぱくさせたが、結局口を噤んだ。
 こういう権力を笠に着る行為は俺の主義に大いに反するが、言っちまったものは仕方が無い。こういう手でも使わないと、こいつの事だ、例の件をウジウジと根に持って、俺を避け続けるだろう。放っておくつもりだったが、目の端々に映るそんなゴードンが段々ウザくなってきた。
 俺がアカネイア、アリティア軍合同訓練の為にここ、アリティアに滞在し始めてからもう半年になろうとしている。
 最初のうちは久しぶりの再会だったせいか、ジョルジュさんジョルジュさんとまとわりついて、うっとうしいぐらいだったが、とある事件をきっかけにこんな冷戦状態に陥った。
 その事件とは、あいつの弟、ライアンに関するもの。
 ぶっちゃけると、俺が奴の弟に手を出したっていう話だ。




 その後演習は滞りなく終了し、昼食後待機(万事平和な時はつまり休憩)となった。
 ……もしかして緊張してるのか?俺。
 意味もなく部屋をうろうろしてる自分に気付き、チッと舌打ちする。
 なんだってこの俺様がゴードンごときに緊張せにゃならんのだ?馬鹿馬鹿しい。
 不本意極まりない感情だ。
 たかが、思い込みの激しい元弟子だ。
 ただちょっとカラダの関係があって、その弟もモノにしちまっただけであって。人によってはとんでもないことだと言うかもしれんが、俺にとっちゃあそれがどーした、だ。これが俺の日常だ。文句あるか。
 ベッドに寝転がり、乱暴に足を投げ出す。その時、控えめに部屋の扉がノックされた。
 それに対して反射的に起き上がってしまった自分に、俺はまた苛立つのだった。




「………」
 俺が入れた温くてまずいコーヒーを黙って啜るゴードン。
 奴の周りの空気が重い。はっきり言って、うざったい。
「言いたい事があったらはっきり言ったらどうだ?」
 耐え切れず俺が口を開いた。俺から切り出すのも不愉快だが、そうも言ってられない。一応俺が呼び出したんだ。このまま黙られてたんじゃ、話が進まない。
 俺の気持ちを知ってか知らずか、黙って俺を見返すゴードン。珍しく、落ち着いた眼差しだ。ほー、俺に対して、生意気に。
「怒ってンだったら直接俺に言え。行く先々で意味ありげに避けられ続けてるんじゃこっちも気持ちのいいもんじゃないし、気も散る。このまんまじゃ訓練にだって支障をきたす可能性だってある」
 沈黙。
「あー……ライアンに手ぇ出しちまったのは、確かにちょっとは悪かったかもしれない」
 俺は心持ち、反省してみせる。
「向こうにその気があったかも確認してないしな。その点に関しては、俺の方にもちょっとは考慮の余地があったかも…だ……いちおう」
 反省の色があるようには聞こえないかもしれんな……。が、これでも目一杯の譲歩をしてるつもりだ。言い慣れない言葉を使いまくってるから、頬も引きつってくる。ゴードンは分かっているだろうか。
 じっと聞いている風だったゴードンの手許にぽとっと何かが落ちた。
 ……うげっ。こいつ泣いてやがる。
 俺は心の中で頭を抱えた。
 ゴードンはそれをきっかけに、はらはらはらと堰を切ったように涙を溢れさせはじめた。
「……ジョルジュさんは、何も分かってないです」
「……あン?」
 カチンと来たが、まだ何か言いたげだったのでとりあえず黙って聞く事にした。これぐらいの我慢はできるさ。ゴードンごときに気遣ってやるなんて、すごい譲歩だぜ俺も……。
 ひとり自画自賛からゴードンの次の一言が俺を現実に引き戻した。
「ライアンは、ゆくゆくはアカネイア騎士団に送ろうと考えていたんです」
「……は?」
 いきなり、何を言い出すのかと思った。
「アリティアにずっと所属しているよりも見聞も広がるし、最高の技術も学べる。それで認められれば、将来的にアカネイア正騎士団に所属することも出来るかも知れない。それは、僕らにとっては大変名誉な事じゃないですか。少なくとも、それを試すだけの才能が、ライアンにはあると思ってたんです。身内だからというのではなく、アリティア正騎士団の弓兵部隊副隊長としての責任を元に、僕は彼をそう認めていたんです」
 子供のように涙を落とし続けるゴードンの口から出るしっかりとした言葉が、逆に何だか恐ろしい。
 ゴードンがそんなことを考えていたとは、初耳だった。確かにライアンの筋はいい。かつてのゴードンよりはよっぽど能力値は高いし、経験も積んでいる。間違いなくゴードンと共にアリティア弓兵部隊を率いていく秀逸な人材だろう。それは俺も認める。
 だからといって、ライアンがアカネイアに留学…って話は考えもしなかった。
「優秀な人材を他国軍に送るってのは、賢くないんじゃないか?」
「だからといってみんな自国に留まっているだけではよくないと思うんです。戦乱の時代は終わり、軍はこれから規模も小さくなって、今回みたいな両国合同演習の機会も増えるんだと思います。だからもう今さら他国だ自国だという事はなくなるんじゃないでしょうか。特にアカネイアとアリティアは、もともとが同盟みたいな間柄ですし」
「将来的には、連合軍にでもなっちまうと?」
「可能性はありませんか?」
 まあ……そうかも知れない。
 俺は自分の弓以外にはまったく興味がないから、軍の将来とか真剣に考えることなんてほとんどなかった。アカネイア軍自体には名誉を感じるし、自分の職務は給料分ぐらい全うしているが、ゴードンはそれ以上に馬鹿真面目だったという訳だ。
「その話は隊長殿にも相談しましたし、これからそういう事も視野に入れていこう、という話になっています。まだ、ジョルジュさんには伝わってなかったかも知れないですけど……」
「ああ。ちっとも聞いてない」
 それに関しては別段怒る気はしない。そもそもそういう真面目な会議には最近ほとんど出席していないからだ。戦争が終わってからというもの、政治的な根回しやら国の政策やらの話が多すぎて、出ても何の足しにもならないからだ。ゴードンはきっちり出ていたらしいが……。
「近々こちらから何人か兵士を選んで、アカネイアに派遣しようという話も出てました。アカネイアの指導法を現地で見て学ぶ為です。その第一団にライアンを……という話があったんです」
「ほー」
「……でも、その話はなくなりました」
「なくなった?」
「はい。……その、ジョルジュさんとの事で……」
 うつむいて顔を赤くする。なんでそこでお前が赤くなる必要があるんだ…。
 ……て、俺が原因て?
「なんでだ?」
「受入先はアカネイア正騎士団ですよ?白騎士弓兵隊部隊」
「まあ、俺の部隊だな」
「人はこう思うかも知れません。その…為にコトを起こした…って……」
 ……。
「それじゃ何か。将来の為に俺に抱かれたっていうことか?」
「そ……そう言われる事を恐れたんです。マルス様は」
「なっ……んでマルスがそんな事知ってンだよ?!」
 これはびびった。マジで。
「ライアン本人が報告に行ったんです。こういう関係になってしまった以上、僕は行けません……って」
「な……」
「ライアンの送り出しは、当分見送りになることになりました。僕と同様に、アカネイア正騎士団への所属はライアンの憧れであったんですよ。なのに……。僕は彼が不憫で仕様がないんです」
「ンな事、わざわざマルスに報告するこっちゃないだろう!あいつが黙って忘れた振りしとけば、こんなことにゃ……」
「黙っておいて、もしそれがばれたら?自分はさておいても、アリティア、ひいてはマルス様の名誉を汚すような噂が流布するかもしれない。それが恐かったんだと思います。下手すれば、ジョルジュさんの名も汚すかも知れない」
「俺はいつもの事だ、気にするこたねえだろーよ」
「分かりませんか。ライアンだって、当然ですけど憧れてたんですよ。ジョルジュさんに。無理矢理されても嫌がらなかったのは、もしかしたら好きだったのかもしれない」
 ゴードンは泣きながらもまっすぐに俺を見て、そう言った。
「自分が黙っている事で沢山の人々に迷惑がかかるかもしれない、それだったらば自分が――と。元々自分が望んでなった関係でもなかったのに……」
 俺を責める言葉がちくちくと痛いが、事実だけに反論する権利もなく、ただ唖然、呆然だ。言う言葉が見つからない。
 単なる口喧嘩で終わる話のはずが、マルスや、国の名誉まで巻き込んだ話になっちまうとは……。
「全ては、俺がライアンに手を出しちまったせいか」
「……僕がずっとジョルジュさんを避け続けていてもどうしようもないっていうのは十分承知していました。でも、……でも、他にどうすれば良かったんでしょうか?僕は」
 ぐずぐずと鼻をすするゴードンに、俺は黙ってタオルを放り投げた。
「どうすればいいのか…わからなかったから、せめて、距離をおくことで……時間をやり過ごしたかった。ジョルジュさんを恨みたく……なかったから」
 タオルを掴んで、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、ゴードンは話し続ける。
 どうでも良い時には限り無く雄弁に動く俺の舌が、今回は全く言葉を紡ごうとしない。
 ……参ったな。
 すっかり冷めて更にまずくなったコーヒーを、無理矢理喉に流し込むと、ようやっと頭が少し回転しはじめた気がする。
「ライアンの受け入れは俺が何とかする……ってんじゃ納得しないか?」
「……その話は、僕じゃなく直接ライアンにしてください」
「……そうだな」
 ふうーっと大きく一つ息をつく。
 しばらく沈黙が流れる。
 ゴードンは少し落ち着いたふうで、涙も止まり、黙って同じように冷えたコーヒーを飲みはじめた。
「……悪かったな」
「え……」
 俺が謝ったのがそんなに意外だったのか、ゴードンはきょとんと俺を見返し、次の瞬間真っ赤になった。
「いえ……もう、いいんです。謝って頂こうと思った訳じゃないですし。ジュルジュさんがライアンに手を出した事は事実ですし、そりゃ、情けなくて仕方ないですけど、ジョルジュさんだからっていう諦めもあるし」
 ……言いたい事言ってやがるぞ、こいつ?
「こっちこそ、ずっとその…逃げてしまって、申し訳ありませんでした。実のとこ、ジョルジュさんが話し掛けてくれなかったら…このまま一生話せなかったら…って、ずっと不安だったんです。話せただけで、すごく…楽になった感じです。感謝、しています。ありがとうございました」
 礼を言われる筋合いでないっつーのに相変わらず腰の低い奴だった。一生話せない……ってのもやけに大袈裟で笑える。
「てっきり、弟に手ぇ出したことに怒ってンのかと思ってたぜ」
「そんな…こと、は。その、ジョルジュさんだし…その、そりゃ、ちょっと複雑ではありますけど…」
 いまいち煮え切ってるんだかいないんだか良く分からんが、その件に関してはそれほど気にしてないようだと思う事にする。俺的に助かるから。
「その…時期さえ今でなければ何も問題なかったと思うんです。ライアンとのこと、出来れば真剣に考えてやって下さい」
 真剣にって…何をだ?
 ずしっと重い荷を背負わされた気がしてどうにも落ち着かない。奴はその意識は全くないのか、きょとんとこっちを見ている。何か、浮気がバレた亭主みたいになってる自分に気付く。
 ゴードンの言う事を一方的に聞いてるうちに、段々ムカついてきた。
 敢えて聞かぬ振りをして、俺はゴードンの前に立つ。
 ゴードンは今までと違った俺の雰囲気に気付き、慌てたように席を立つ。
「あの……じゃ、じゃあ、僕、帰ります」
 一礼をして早々にその場を離れようとする。
 ぐいっと腕を掴み引き寄せると、ゴードンはいとも簡単に俺の胸元に収まった。
「ジョ、ジョルジュさん!?」
 見上げる唇に自分の唇を重ねる。
「ん……んんっ……」
 舌を嬲り、絡め、蹂躙する。
「……ふっ……」
 離れようとするのを力ずくで留め、奴の舌を強く吸い上げる。どちらのとも分からぬ涎が顎を伝い、ゴードンの首元を濡らした。
「ん…っ……はぁっ」
 さんざ味わってから離すと、ゴードンは苦しそうに息を吐いた。
「顔、真っ赤だな」
「ジョルジュさんっ……全然、反省してないじゃないですか…っ!!」
「ふん。別に俺の下半身の節操なさは今さらでもないだろ」
「そ、それは分かってますけど……」
「ライアンが俺を好きってのには吃驚したがな。そういうお前はどうなんだよ?」
「……そんなこと、何で聞くんです?今まで、そんなの、問答無用だったじゃないですか」
「……確かにそうだな。何でだろうな」
 自分の発した問いに我ながら驚く。自分の思い通りになれば、相手の気持ちなんぞ二の次だと思っている俺が、なんでゴードンの気持ちなんかを聞こうとしてるんだ?
 ……なんか、まだ呑まれているのかも知れないな。こいつに。
「俺にも良く分からんが、ライアンの問題はお前とは別だろ。それは俺が解決する問題だ。お前の気持ち自体はどうなんだよ」
「僕……僕は、節操のないジョルジュさんは……嫌いです」
 ゴードンに節操がないとか言われると笑うしかない。
「でも、弓を扱ってる時のジョルジュさんは、好きです」
「ほー。だがどっちも俺には違いないだろ」
「そ、そうですけど、誰に対しても節操がないのは、ダメだと思います!」
 すぐに膨れるとこはいつも知ってるガキなゴードンだった。
「お前はどうしたいとかないのか?」
「ど、どうしたいって…」
 問われ、ゴードンは困惑したようだった。
「け、結婚したいとかですか?」
「阿呆か。男同士だぞ」
「そ……そうですよね」
 真っ赤になって俯いてしまう。
 相変わらず、馬鹿な奴……。
 呆れる反面、微笑ましく思ってしまうのは、どうも俺らしくない。なんだかおかしいぞ、俺。いつもだったら簡単にドつくだろうに。
 腕の中で小さく震えてるこいつが、ちょっとだけ、ほんの少し、ごくごく微量だが、可愛いと思えない事もない。
「そ、そういうジョルジュさんはどうするつもりなんですか。ジョルジュさんのき、気持ちを……知らないです、僕」
「俺?俺は……」
 こいつの肌ってこんなに綺麗だったっけな〜、とぼんやり思う。考えが纏まらない。
 奴の半開きの唇に舌に目が引き寄せられた。ドクッ、と身体の奥が痺れる。
「あ……あのっ……」
 ゴードンが焦ったように身体を引くが、それぐらいじゃ俺の腕は離れない。
「あ…当たって……ます」
 ますます顔を赤くしたゴードンが囁く。
 節操がないと言われた俺の下半身がぴたりとゴードンの腰に密着しているから、その反応も逐一分かるだろう。
 ……文句言われたそばからこれってのは、流石に駄目じゃないか?
 自問自答している間もゴードンは逃れようと身体を捩り、俺はついつい、より強く抱き込んでしまう。逃げようとされると、どうも体が勝手に相手の動きを封じるように動いてしまう。
 うーん。俺って真性サドだな。
 ……とりあえず、今日の俺はちょっとおかしいから、それは明日考える事にしよう。
 今は己の欲望に素直になることにした。
「わっ?!」
 足払いをかまし、ゴードンの身体をベッドへ押し倒す。
「ジョ…ジョルジュさんっ、ま、また、こんな事っ!反省したんじゃな………んんんーーーっ!」
 お構い無しに唇を塞ぐ。まだ何事か口の中でもごもご言っているが、一切気にしない。胸元から手を忍ばせ、手早く衣服を剥ぎ取っていく。
「う……あっ……あっ」
 バタバタ暴れる足をきっちり固めつつ、下腹部に手を入れる。まだ柔らかいそれを手のひらで包み、ゆっくりと扱き始める。
「〜〜〜っ!」
 声にならない声を上げながら、ゴードンが首を振る。俺の唇が外れた隙に、苦しそうに息をつぐ。
 俺は露になったゴードンのものを有無を言わさず擦り、扱き、そして舐める。その段階ではもう奴は暴れる気力も無くし、ただ俺の与える刺激に耐えながら、苦しげな喘ぎを漏らしていた。
「相変わらず、女性経験、無しか?」
「ほ……放っといて下さい…っ」
「まさかやり方がわからないとかじゃねえよな」
「……っ、僕、は、ジョルジュさんとは、違うんです…っ」
 どういう意味だ、と突っ込みたかったが、また薮蛇になる気がして止めておいた。
 頃合を見てうつ伏せにひっくり返し、後ろを探りながら首筋に口付けをするとゴードンが首をひねってこちらを振り向こうとする。
「ジョルジュ…さ……」
「……」
 吸い寄せられるように、唇を合わせる。なんだか今日の俺はおかしい。やけに優しい気持ちで、ゴードンに口付けばかりをせがんでいる気がする。
「……うっ……あっ…」
 そんな気持ちを振り切るように、遠慮無しに指を突き込む。ゴードンがびくりと体を震わせた。そのまま勝手知ったる調子でゴードンを中から高めていく。
「や、あ、あ」
 女性経験どころか、しばらく禁欲生活でもしてたのかと思うほど、こいつはあっさりと上り詰めていく。
「は…あっ……あ…!」
 ゴードンは自分の指を俺のもう片方の手に絡めて、痛くなるほど握り締めながらひくひくと体を震わせ、大きく放った。
 俺は奴に入れていた方の指を引き抜き、後ろから俺のものをあてがった。
「……は……」
 振り向きながら縋る様に俺を見上げてくるゴードンの背中にキスを落として、じわじわと押し込む。緊張する体を和らげるようにぐっと抱き寄せると、奴はすんなり俺を受け入れた。
「…そ…れ…っ、きもち……い……っ………」
 俺の動きに素直に反応を返す奴が、やけにいじらしく見える。
 それを見てると、俺自身も驚くぐらい高ぶっていく。
 本当に、今夜の俺はどうかしてる。